肝臓ってどんな器官?

肝臓の働き

肝臓は、強く大きく、働き者の臓器です。お腹の中心から右寄りに位置し、ほぼ全体が肋骨に覆われています。およそ3,000億個の細胞から成り、重さは成人で1~1.5㎏と体重の約1/50に相当する人体最大の臓器です。肝臓には「動脈」と「静脈」に加えて「門脈」という血管があり、胃腸や膵臓、脾臓といった腹部内の主な臓器からの血液は、心臓に戻る前に門脈を通って肝臓に集まります。
肝機能が正常であれば、実に全体の75~80%切り取られても、自らを修復しながら黙々と働き、半年後には元の大きさに回復します。この高い再生能力のため機能が少々低下してもはっきりとした症状は現れず、自分ではなかなか気付くことがありません。そのため、肝機能の不調は健康診断で発見される場合が多く、非常に悪化していることもあります。肝臓が「沈黙の臓器」とも呼ばれる所以です。

代 謝

肝臓では、消化器官からやってきた栄養を身体の各器官が必要とする形に変えたり、エネルギーとしてつくり出したりします。
食事から摂った栄養分は、そのままの形で利用することはできません。胃や腸といった消化器官で消化された後、肝臓に送られて代謝することで、体内で使えるようになるのです。肝臓は代謝の中枢を担うといわれています。

栄養の貯蔵

肝臓は脳の主要なエネルギー源であるブドウ糖(グルコース)を供給しています。脳は睡眠中もエネルギーを必要としているので、その補給はほぼ24時間欠かせません。いつでも補給ができる態勢に整えつつも、血糖値が上がり過ぎることがないように、肝臓はブドウ糖をグリコーゲンの形で備蓄しているのです。

解 毒

肝臓は、身体に有害な物質を分解して無毒化する「解毒」の働きをします。アルコール、栄養素を代謝するときや過度の運動によって体内で発生するアンモニア、薬なども身体にとっての有害物質です。肝臓は、これらを無害なものへと処理してくれます。

胆汁の生成・分泌

肝臓では、コレステロールと胆汁酸から胆汁をつくり出しています。胆汁にはいくつかの役割があり、その1つが脂質の消化吸収を助ける働きです。もう1つは、古くなった赤血球や微量金属など、肝臓で処理された不要物を排泄する役割。また、胆汁の材料にすることで、血中のコレステロール濃度を調整するという働きもあります。胆汁は胆嚢に貯蔵され、脂肪分が体内に入ると、胆管を通って十二指腸と小腸に出て行きます。

肝機能の低下は 飲酒だけではない

肝臓を弱める原因はお酒の飲みすぎばかりではありません。睡眠不足や夜更かし、食べ過ぎやストレスなど、誰しも身に覚えのある日常生活の中にあるのです。普段からケアして、肝機能を正常に保てるようにしたいものです。